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## Demiについて
デミセクシュアルという言葉がはじめて出てきたのは2006年のAVEN(ACEのためのオンラインプラットフォームで一番歴史が長いもの)の掲示板でのことそうで。
デミセクシュアルという言葉がはじめて出てきたのは、一般的には2006年のAVEN(ACEのためのオンラインプラットフォームで一番歴史が長いもの)の掲示板でのことそうで。
> > I have developed more detailed terms, though I'm still working on them.
> > Primary sexual attraction is sexual attraction mostly based on physical attributes. An on-sight type of thing.
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[Asexual sex - Members Questioning - Asexual Visibility and Education Network](https://www.asexuality.org/en/topic/14000-asexual-sex/?do=findComment&comment=375635)
とはいえ、日本語でのプレゼンスはまだまだ低いし、英語圏を含めても、例えばデミがキャラクターの表象として現れたりすることはまーほぼない。クィア・アイの最新シーズンではデミセクシュアル・バイロマンティックを名乗っている人が出てきてたけど
それに対応して、デミロマンティックという言葉も生まれて、という流れだ。一応、agenderに相当するdemigenderというのも有るのだそうだけど、これは日本だとほぼほぼ聞かないかも
学術的にみても、ようやくAro/Aceが「[[ACE アセクシュアルから見たセックスと社会のこと - アンジェラ・チェン]]」や、つい最近でた「[[Ending the Pursuit- Asexsuality, Aromanticism & Agender Identity|Ending the Pursuit- Asexsuality, Aromanticism & Agender Identity - Michel Paramo]]」などでようやく議論の土台が固まってきたところで、個別の論文レベルならともかく書籍レベルでデミセクシュアル・デミロマンティックが話題の中心になったものはない[^papers]。
とはいえ、日本ではそもそもdemiの知名度自体まだまだ低いし、英語圏を含めても、例えばデミがキャラクターの表象として現れたりすることは、まーほぼない。クィア・アイの最新シーズンではデミセクシュアル・バイロマンティックを名乗っている人がいたけども。
学術的な方向でも、ようやくAro/Aceが「[[ACE アセクシュアルから見たセックスと社会のこと - アンジェラ・チェン]]」や、つい最近でた「[[Ending the Pursuit- Asexsuality, Aromanticism & Agender Identity|Ending the Pursuit- Asexsuality, Aromanticism & Agender Identity - Michel Paramo]]」などでようやく議論の土台が固まってきたところで、個別の論文レベルならともかく書籍レベルでデミセクシュアル・デミロマンティックが議論の中心になったものはない[^papers]。
[^papers]: 論文レベルでも今のとこ無いと思うのだけど、誰か知ってたら教えてください。
自分がデミについて知ったのは確か2018年。何で知ったかはもう忘れたんだけど、一応当時も日本語で解説してるWebサイトがどっかにあって、なんじゃこりゃと思った記憶ある。それよりも覚えていることは、今もインスタを中心に漫画でLGBTQ+を漫画で解説しているパレットークというメディアがあるのだけど、当時はインスタなどではなくPaletteQという、セクマイ関係の話題を匿名で相談できる知恵袋みたいな独自のコミュニティアプリを運営していた。デミの話題は多くはないけど無いこともなかったので、私もそこにアカウントを作り、2、3質問をしてみたことがある。そこでも具体的にどんなことを書いたかまでは覚えてないのだけど、反応してくれた人が当たり前にデミの概念を知っていること、話に共感してくれるというそれだけで相当新鮮な気分になったのを覚えている。
自分がデミについて知ったのはたしか2018年。なにをきっかけに知ったのかはもう忘れたんだけど、一応当時も日本語で解説してるWebサイトがどっかにあって、なんじゃこりゃと思った記憶ある。それよりも覚えていることは、今もインスタを中心に漫画でLGBTQ+を漫画で解説しているパレットークというメディアがあるのだけど、当時はインスタなどではなくPaletteQという、セクマイ関係の話題を匿名で相談できる知恵袋みたいな独自のコミュニティアプリを運営していた。デミの話題は多くはないけど無いこともなかったので、私もそこにアカウントを作り、2、3質問をしてみたことがある。そこでも具体的にどんなことを書いたかまでは覚えてないのだけど、反応してくれた人が当たり前にデミの概念を知っていること、話に共感してくれるというそれだけで相当新鮮な気分になったのを覚えている。
ところで、なんで質問した内容を覚えてないかというと、PaletteQは気づいたらサービスを終了していたからだ。そもそもPaletteQが[オープンしてからクローズするまでわずか半年少ししか続かなかった](https://www.wantedly.com/companies/melo/post_articles/149492#_=_)ことは後になって知ったのだが、それにしたって終了の告知からわずか1ヶ月で全てのサービスがクローズしてしまい、自分が何を話したか振り返ることもロクにできなかったのは言いしれぬ喪失感があった。
@ -36,11 +38,11 @@
## 「ない」類型としてのDemi
当時はデミという言葉自体がACEコミュニティの中から出てきたことを知らなかったこともあって、自分に当てはまるところが多いなと思いつつ、一番違和感があったのはデミがAce/Aroのスペクトラムの中にあるということだった。
2018年当時はデミという言葉自体がACEコミュニティの中から出てきたことを知らなかったこともあって、自分に当てはまるところが多いなとは思いつつ、デミがAce/Aroのスペクトラムのひとつに分類されるという説明が相当疑問だった。
それは自分の認識が「稀に/僅かに”有る”」だったからなのだと今にしてみればわかる。チェンの本でも最初に書かれていることとして、Aro/Aceの人は自分たちに「”無い”」概念を言葉にすることにまず苦慮することになる、という話がある。「多くの周りの人と違って性的惹かれや恋愛的惹かれを覚える対象が”違う”」「出生時に割り当てられた性別と自認する性が”違う”」という、差分によって違和感を覚える経験と比べると、そもそも自分が違和感を覚えたりモヤっとしていること自体が無化しやすいということになるだろう。
それは自分の惹かれの経験は「稀に”有る”」という認識だったからなのだと、今にしてみればわかる。チェンの本でも最初に書かれていることとして、Aro/Aceの人は自分たちに「”無い”」概念を言葉にすることにまず苦慮することになる、という話がある。「多くの周りの人と違って性的惹かれや恋愛的惹かれを覚える対象が”違う”」「出生時に割り当てられた性別と自認する性が”違う”」という、差分によって違和感を覚える経験と比べると、そもそも自分が違和感を覚えたりモヤっとしていること自体が無化しやすいということになるだろう。
一方で、Demiの悩みの多くはAro/Aceとも共通するものではありつつも、いわゆる「好きになった時には友達枠認定」問題のような、[[Allo]]Aceと逆に、フツーに恋愛的惹かれや性的惹かれを経験する人も共感しやすい”有る”が故の悩みにつながることもあって、全てが"無い"に起因する困難というわけでもない。
一方で、Demiの悩みの多くはAro/Aceとも共通するものではありつつも、いわゆる「好きになった時には友達枠認定」問題のような、[[Allo|アロー]]Aceと逆に、フツーに恋愛的惹かれや性的惹かれを経験する人も共感しやすい”有る”が故の悩みにであることもあって、全てが"無い"に起因する困難というわけでもない。
ところで、この「無い」をわかりやすく人に伝えようとすると、往々にしてAro/Aceの表象は「何かが欠けた人」だったり「子供っぽい」「冷たい/ロボットのような/サイコパスっぽい」ものになりがちだということもよく話題に上がる。
@ -78,22 +80,23 @@ Demisexuality Resource CenterというWebサイトにもこんな説明がある
## 両極に働きうる「それはフツーだよ」と、社会運動の一部としてのDemi
Aro/Aceが言われるものの中でも、デミの場合に尚難しい対応を迫られる言葉が「それは普通のことだよ」「それはおかしなことじゃない」というアドバイスであろう。
Aro/Aceが典型的に経験するものと共通していて、デミの場合になお難しい対応を迫られる言葉が「それは普通のことだよ」「それはおかしなことじゃない」というアドバイスであろう。
これは、全く同じ言葉であってもその話の文脈によって全く逆の意味合いに分裂する。
「仲良くなってからじゃないと好きにならないなんて普通のことじゃん」というのは言ってる側からすると悪気のない言葉ではあるが、どちらかといえば現状の「フツー」を維持する、デミのモヤモヤしている対象自体をなかったことにする方向に働きがちである
「仲良くなってからじゃないと好きにならないなんて普通のことじゃん」というのは言ってる側からすると悪気のない言葉なのはわかっている。だがこれはどちらかといえば現状の「フツー」を維持する、デミのモヤモヤしている対象自体をなかったことにする方向に働
(もちろん人によるけど)次に続くアドバイス(?)は「ちょっと”重い”んじゃない?」みたいな言い方だったり、下手すりゃ「自分を無理にマイノリティにラベリングして特別扱いされようとしてる、目立とうとしてるんじゃない?」みたいなことになったりする。
さて、後者の発言はちょっと慎重に考えておきたい。Demiのような、おそらくシスヘテロの人の中でも実際には当てはまると思う人たちが積極的にDemiを名乗るようになると、それは既存のマイリティの居場所をマジョリティが簒奪することになりかねないのではないか、という話だろう。こうした心配は他のマイクロラベル…最近だとサピオセクシュアル/ロマンティックやフィクトセクシュアル/ロマンティックに対しても「それは好みpreferenceの話でしょ」の文脈もそういうことに繋がりうるだろうあんまり具体例は出てこないのだけど
前者の問題は、自分は「重い」やつなのだ、と言われることによって、アローロマンティックの中でも自分は特別恋愛感情が強い方で、だからこそ余計な拘りを持ってしまっていて上手くいかない、という内面化につながる。これもDemiがAro/Aceのスペクトラムに分類されるときに違和感を覚える要因のひとつだろう。
後者の発言はちょっと慎重に考えておきたい。Demiのような、おそらくシスヘテロの人の中でも実際には当てはまると思う人たちが積極的にDemiを名乗るようになると、それは既存のマイリティの居場所をマジョリティが簒奪することになりかねないのではないか、という話だろう。こうした心配は他のマイクロラベル…最近だとサピオセクシュアル/ロマンティックやフィクトセクシュアル/ロマンティックに対しても「それは好みpreferenceの話でしょ」の文脈もそういうことに繋がりうるだろうあんまり具体例は出てこないのだけど
確かに、こうしたマイクロラベルを社会運動の文脈で捉えた時にはぶつかる可能性がないわけではない。例えばAro/Ace/Demiが「フツー」に抗していこうとなると、制度、規範としての結婚はとっとと無くなった方がいいんじゃないかという話になってくる。かといって、ではMarrige for Allを掲げている人々の目の前で正面切って「婚姻制度自体そもそも要らなくない」と言えるだろうか。
だからこそ「[[最小の結婚 結婚をめぐる方と道徳-エリザベス・ブレイク|最小の結婚(エリザベス・ブレイク)]]」のような提案が出てきたりもするわけだけど、根本としてはなんとなくみんなが共有している「フツー」がいつの間にか社会制度とかにも反映されていて、謎の不利益を被ったり権力勾配が存在することになったりしている、という前提を共有することができれば、シスヘテロのDemiも一緒に声を上げる側の一員になりうるだろう。
## マジョリティを引き込むためのDei
## マジョリティを引き込むためのDemi
というよりも、一番ここが重要だと思うのだが、Demiというラベルは「自分はシスヘテロだからマジョリティのアライとしての立場で」マイリティと連帯して行動する、という構図自体に疑問を投げかける役割があるんじゃないだろうか。