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松浦 知也(SoundMaker)
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音に関わるメディア・インフラストラクチャ技術を実践を交え批評的にデザインする活動を「音楽土木工学」と称して研究。ハウリングだけで音を出す自作電子楽器「Exidiophone」などを用いての演奏活動、音楽プログラミング言語「mimium」の設計と開発のほか、近年はDIY半導体の制作に取り組む。分担執筆に「クリティカル・ワード ポピュラー音楽」(フィルムアート社、2022年)。
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抵抗やコンデンサ、コイルのような素子自体をDIYデザインやクラフトの対象にする試みは[[Hannah Perner-Wilson]]らの”[[Kit of No Parts]]”を代表として様々な例があるが、半導体素子に関してはまだまだ例が少ない。ダイオードに関しては、1920~30年代から試されていた点接触式の簡易的なデバイスが作れるため、アーティストの[[Ioana Vreme Moser]]による「Sizzling Semiconductor」ワークショップや、そこで参照されている[[Nyle Steiner]] のようなアマチュアによる先例が多くある。
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点接触系は[[Ryan Jordan]]や[[Ioana Vreme Moser]]をはじめとして結構先例がある。
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トランジスタに関しては、同様に点接触式の簡易的なものを[[Ryan Jordan]]が、またSteinerによるCdS(光可変抵抗)を改造して作るものなどの先行例がある。
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2010年ごろまではYahoo!グループの「[Homemade Transistor](http://groups._yahoo_.com/group/home_transistor/)」というトピックで議論が交わされていたが、現在はこうしたトランジスタを物理的に制作することを目指したコミュニティは見当たらない。(個人によるLSI、ICチップ製造に関しては後述。)
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今日工業的に一般的な方法に習って、シリコンウェハ上にトランジスタを形成する取り組みを行っているアマチュアとしては、[[Jeri Ellsworth]]や[[Sam Zeloof]]、最近では”Project in Flight”などのYoutubeチャンネルで試みが見られる。
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しかし、シリコンウェハを使ったトランジスタは、簡易的な方法を用いたとしても次の3点が大きなハードルとなる。
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1. 超高温。シリコン上に絶縁層(SiO2)を作ったり、不純物を添加する(ドーピング)ためには1000°C近い温度で加熱可能な炉が必要になる。層の厚さを均一にコントロールするためバーナーなどでは置き換えられない。
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2. 真空。電極を蒸着やスパッタリングで形成するために必要になる。
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3. 特殊な薬品。絶縁層を任意のパターンで削り出すため、フッ化水素酸のような通常購入の難しい危険な薬品が必要になってくる。
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Zeloofのような先行例では炉や真空装置をebayで手に入れたり、炉自体をDIYで作るようなアプローチを取ることになるが、依然根本的なハードルの高さは否めない。
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もちろん、工業的にもこれらの3要素なしに製造できるメリットは大きいため、様々な研究が行われている。例えば比較的低温(~250°C)で製造ができるのなら、基板をガラスやシリコンでなくプラスチック上に形成できる。
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特に、Printed Electronicsと呼ばれる分野ではトランジスタを含めた素子を、薬品の塗布や加熱の繰り返しのような簡易的なプロセスで作ることを目指している。
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中でも酸化亜鉛(ZnO)をベースにした薄膜トランジスタ(TFT)は材料の入手性や人体、環境への安全性の面でDIYでの製造に適している。
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アマチュアで酸化亜鉛ベースのトランジスタを製造している例は、ユーザー名madscifiによるブログ"And a Quarter gets You Coffee"での[[Homemade Thin-Film Transistor Experiments]]が唯一である。
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madscifiによる実験では、前駆体溶液(加熱するとZnOの薄膜が得られる溶液)として、硝酸亜鉛とイソプロピルアルコール(2-プロパノール)を用いている。この溶液は熱分解時にZnOとNO2ガスを出すため危険であると同時に、入手の難易度も高い(直接手に入らないにしても、製造には硝酸が必要なため依然危険)。
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研究では酸化亜鉛
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その焦点はどちらかというと不可視のテクノロジーを材料レベルでクラフトするという、マテリアルの問題であるように見える。
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