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2020-05-07 00:46:27 +09:00

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福岡女学院大学 「サウンド・デザイン」 1 true

2020年 福岡女学院大学 「サウンド・デザイン」

木曜2時限目

講師:松浦知也

授業内容

本授業、サウンド・デザインでは音を創ることについての実践的な知識を技術と文化の両面から身につけることを目標とする。

今日、私たちの身の回りには人間によって創られた音に溢れている。例えば音楽や映画の音響はもちろん、電化製品の報知音からコンサートホールの残響も含めることができる。

本授業では音をデザインするために必要な基礎的な知識を「物理」「計算」「知覚」「本物らしさ」「機能」「物語性」という6つの観点と結び付けて学んでいく。

また各トピックにおいてオープンソースのサウンドプログラミング環境「Puredata」を用いて音を構築する方法を実践的に学ぶ。

授業の概要

初回は授業のオリエンテーションとし、それ以降は以下6つのトピックを各2~3コマを目安に取り上げる。

  1. 音と物理 / Sound and Physics - 物理現象としての音とはそもそも何なのかについて学ぶ。
  2. 音と計算 / Sound and Computation - コンピューターの中で音はどうやって取り扱われているのかをPuredataの基礎的な操作方法の習得を通じて学ぶ。
  3. 音と知覚 / Sound and Cognition - 音は耳から入り脳へ電気信号として伝わる。その際に、人間の知覚は様々な補正を施す。こうした人間の音に関わる生理的・認知的特徴の基礎をPuredataで実際に錯聴を起こすプログラムを作りながら学ぶ。
  4. 音と本物らしさ / Sound and Fidelity - ある音を全く同じように再現しようとすることは音を創る上での基本的な行動である。しかしある音が本物らしいということはどういうことなのだろう? この疑問を音を録音、再生するサンプリング、ステレオやサラウンドなどの空間音響、音のなる仕組みそのものを模倣する物理モデリング合成といったトピックを通じて学ぶ。
  5. 音と機能 Sound and Function - 音は時に人に注意を促させたり、感情を想起させたり人に対して働きかける機能を持つことがある。これには人の認知に加えて文化的背景も効果を左右する。ある音がモノや場面、空間に合っていたり、合っていなかったりするのはどういう時か、またそれは何故かについて考える。
  6. 音と物語 Sound and Narrative - 音の機能を時間軸上で操作していけば音に物語性を持たせることができる。例えば、背景音のフェードアウトの長さを変化させることで場面の移り変わりを数秒にも数年にも感じさせることができる。このような時間に伴う音の構成方法を考える。

授業計画

  1. オリエンテーション - 自己紹介の録音/ サウンドデザインとは何か?/ 履修上の注意事項の説明
  2. 音を聞き方を考える - 音の言語化、分類 - 聴取体験のレイヤー
  3. 音と物理 / Sound and Physics 音が取り得る形態を考える - 振動/電気/溝/数字
  4. 音と計算 / Sound and Computation Puredata入門 - 環境構築、基本操作方法の習得
  5. 音と計算 / Sound and Computation Puredata入門 - 音声ファイルを読み込んで鳴らしてみる/音声じゃないファイルも読み込んで鳴らしてみる
  6. 音と知覚 / Sound and Cognition 人間が音を聴く仕組みについて知る / Puredataで聴力検査
  7. 音と知覚 / Sound and Cognition Puredataで錯聴プログラムを作ってみる
  8. 音と本物らしさ / Sound and Fidelity 音声ファイル読み込み再訪 / DJごっこ / マイクから録音してみる
  9. 音と本物らしさ / Sound and Fidelity 空間としての音を考える / ステレオフォニックを作ってみる
  10. 音と本物らしさ / Sound and Fidelity 仕組みの模倣から音を作る / シミュレーションとモデリング、リバースエンジニアリング / 人工音を作る / 自然の音を作る
  11. 音と機能 Sound and Function 「合ってない」音を探し、自分で作り直してみる1
  12. 音と機能 Sound and Function 「合ってない」音を探し、自分で作り直してみる2
  13. 音と物語 Sound and Narrative オーディオ・ドラマを聞いてみる 長い時間の取り扱いを考える
  14. 作品制作(必要に応じて具体的なアドバイスを受け、個々の表現に必要な知識を学習する)
  15. 作品発表、授業のまとめ

参考文献

  • Designing Sound, Andy Farnell, The MIT Press, 2010, ISBN-13: 978-0262290203
  • 「PureData」ではじめるサウンド・プログラミング―「音」「映像」のための「ビジュアル・プログラミング」言語, 中村 隆之, I・O BOOKS , 2015, 978-4777518821
  • Pd Recipe Book -Pure Dataではじめるサウンドプログラミング, 松村 誠一郎, 2012, BNN新社, 978-4861007804
  • Sound Design 映画を響かせる「音」のつくり方, デイヴィッド・ゾンネンシャイン/シカ・マッケンジー(訳), 2015,フィルムアート社,978-4845915651
  • 聞こえくる過去, ジョナサン・スターン (著)/中川克志 (翻訳)/金子智太郎 (翻訳)/谷口文和 (翻訳), 2015, インスクリプト, 978-4900997585
  • 音響メディア史 (メディアの未来05), 谷口文和/中川克志/福田裕大, 2015, ナカニシヤ出版 , 978-4779509513

連絡先

teach[at]matsuuratomoya.com