From ec0d395d38baa8faa02dcc9ce8824a2e5f15899d Mon Sep 17 00:00:00 2001 From: "Tomoya Matsuura(MacBookPro)" Date: Fri, 15 Sep 2023 01:15:55 +0900 Subject: [PATCH] [obsidian] vault backup: 2023-09-15 01:15:55[ --- content/芸術とデザインとしてのDIY半導体.md | 59 ++++++++++++++++++++++ 1 file changed, 59 insertions(+) diff --git a/content/芸術とデザインとしてのDIY半導体.md b/content/芸術とデザインとしてのDIY半導体.md index f2854215..fd0024e0 100644 --- a/content/芸術とデザインとしてのDIY半導体.md +++ b/content/芸術とデザインとしてのDIY半導体.md @@ -11,3 +11,62 @@ tags: いま注目すべきは複製技術(版画のテクノロジー)が使われていることなのではなかろうか + +### 実験ベースの科学のフラジャイルさ + +例えば[[スピンコーター]]を最初に立ち上げた時、3000rpm/30sが標準の設定になっているが、実際どのくらいのスピードで何秒回すとちょうどいいのか全く検討がつかない。そこで参考にしている論文をいくつか漁ってみると、なぜかみんな大体3000rpm/30sでコートしていたりする。 +スピンコートの回転数or時間が成膜に与える影響が主題になっている論文でもない限り、わざわざ回転数と時間のパラメータを大量に並べてパターンを増やすことはしない。分析時のパラメーターが増えるし。 + +じゃあそうした、消極的に設定されたパラメーターが何を基準に決められているかといえば、おそらくは参考にした論文と同じパラメーターを使って、そこから1箇所だけ新しい要素の変化を加えて違いをみる・・・というのがいわゆるサイエンスの営みだと思っていたんだけど、実際のところはその辺は省略されて「今回はこの値を使った」という結果だけが論文には残されていて、全てのパラメーター設定に根拠が示されるわけではない。少なくともそれが査読に通っている。 + +大体、全てのパラメーターについて記述することは確かに現実的ではない。例えばゾルゲル法ZnOベースのトランジスタならとりあえずは次のパラメーターが考えられる・ + +- 使う基板 +- 前駆体溶液の主材料(酢酸亜鉛、硝酸亜鉛、塩化亜鉛、etc) + - モル濃度は? +- 溶媒(エタノール、メタノール、プロパノールetc) +- 添加剤(モノエタノールアミン、ジエタノールアミンetc) + - 粘性(viscosity) + - 主材料に対する濃度は? +- 塗布方法 + - スピンコート + - 回転数 + - 時間 + - ディップ&ソーク + - 引き抜き速度 +- 塗布回数 +- 乾燥温度と時間 +- アニーリング温度と時間 + +これだけでも結構な数だが、増やそうと思えばまだまだ増やせる。 + + +- 使う基板 +- 前駆体溶液の主材料(酢酸亜鉛、硝酸亜鉛、塩化亜鉛、etc) + - モル濃度は? +- 溶媒(エタノール、メタノール、プロパノールetc) +- 添加剤(モノエタノールアミン、ジエタノールアミンetc) + - 粘性(viscosity) + - 主材料に対する濃度は? +- **混合は?** + - **どのくらいの時間攪拌する?** + - **攪拌後どの程度時間をおく?** +- 塗布方法 + - スピンコート + - 回転数 + - **回転加速度の分は?** + - 時間 + - ディップ&ソーク + - 引き抜き速度 +- 塗布回数 +- 乾燥温度と時間 +- アニーリング温度と時間 + - **温度上昇/下降の加速度は?** + - **雰囲気ガスは?** + +これだけいろんなパラメーターがある中で、レビュー論文とかが、「どの要素がどう影響を与えたか」についてを、XRDやSEMなど出来上がったものの観察から、時に反応のモデルのinductionを交えて議論している。 + +しかし、「この特性が欲しいならこのパラメーターをこう変えれば良いと思われる」みたいな指針をレビュー論文は決して出してくれない。 + +そうなると、とりあえずなんでもいっからZnOトランジスタ一番簡単に作りたいな!とかなったとしても、一番スタンダードなやり方みたいなのが想像以上に定まってなくてビビる。 +