ソフトウェア研究に登場する話題についてアルファベット順で各著者が論考を寄せたフラー編「software studies /a lexicon」(2008)ではそのタイトルにもかかわらず「Software」の項はない。近しいのはドイツのメディア研究者フリードリヒ・キットラーによる「Code(or, How You Can Write Somthing Differently)」という項、ジョアシア・クリサとグルジェジーク・セデックの「Source Code」という項である。
キットラーの「ソフトウェアなど存在しない」がハードウェアに焦点を当てるものとして読まれる一つの理由は、ソフトウェアとは何かについて正面切って書いたもう一つの有名な論考、ウェンディ・フイ・キョン・チュンの"[[On Software, or the Persistence of Visual Knowledge]]" (2005) にもあるように思う。この論考でのキットラーの引用はざっくり以下のように切り取られている。
> Friedrich Kittler has more forcefully argued, “there is no software” since everything reduces to voltage differences as signifiers.