> 本書は前半の第1章「Time for Disability Studies and a Future for Crips」から、 第4章「A Future for Whom? Passing on Billboard Liberation」までの四つの章を割いて「時間」ないし「未来」に関する考察を行っている。このことはとりもなおさず、障害というものを考える上で<時間>という概念が非常に重要な位置を占めていることを意味する。従来、障害は基本的に半永久的な悲劇とみなされ、よりよい未来は常に障害の存在しない未来として想像されてきた。本書は、このような未来観の背後に横たわるエイブリズムを批判し、障害を安易に排除することのない未来を想像することがいかにして可能か、様々なテクストや実践に依拠しつつ論じていく。その際に批判対象となるのが、エイブリズムを基礎とした「治療的時間 curative time」 と呼ばれる概念である。