diff --git a/content/docs/2023/fukujo-sounddesign/_index.md b/content/docs/2023/fukujo-sounddesign/_index.md index a2262cb..6fd9189 100644 --- a/content/docs/2023/fukujo-sounddesign/_index.md +++ b/content/docs/2023/fukujo-sounddesign/_index.md @@ -18,18 +18,22 @@ bookCollapseSection: true これを理解するためには、まず音を作ったり加工したりするプロセスや、それに用いられる技術、例えば機材やソフトウェアの使い方、その中に出てくる専門用語などを理解することが不可欠になってくる。さらにそれだけではなく、そうした技術を使って音を作り上げる時の評価基準、さらにはそうした技術そのものを生み出す原動力となる価値判断を支える文化、社会的背景を理解する必要がある。 一般的に「正しい」と思われているテクノロジーの使い方を理解するために有効な手段の一つが、あえて「間違えた」技術の使い方を行なってきた者たちの取り組みを省みることだ。歴史の中で正しいとは認定されなかった過去の取り組みを敢えて掘り起こすことで、テクノロジーや音楽のあり得たかもしれない現在の姿についての想像力を取り戻すきっかけを得ることができる。 + 特にそうした取り組みは、アーティストによる実験という形で現れてきたものが少なくない。 そこで本授業では、実験音楽やサウンドアートの中で試みられてきた様々なテクノロジーの誤用を再現してみることで、今日の音楽環境を取り巻く技術の姿の向かうべき方向への思索を巡らせてみる。 ## 授業の概要 -授業の概要 + 本授業では、スピーカーやマイクロフォンを用いる様々な実験音楽、サウンドアート作品を対象にしたリサーチと再制作を通して、音楽に関わるテクノロジーの内容と、その使い方に関する理解を深めることを目指す。 + 授業前半では、3,4人程度のグループに分かれ、スピーカーやマイクロフォンを普通とは異なる形で使った作品のうちいずれかを選択し、その作品と作家についてのサーベイを行う。(対象となる作品については授業内で紹介するが、そこで紹介された作品や作家に限る物ではない。参考文献も参照のこと。) + 授業後半では、入手できる範囲の機材でその作品の再制作を行い、各グループごとに発表する。 + 授業期間の4日間の内容は概ね以下の通りである。 -- 1日目:オリエンテーション、座学2コマ、実践1コマ +- 1日目:オリエンテーション、間違ったスピーカーの使い方WSx3 - 2日目:グループ分け、作品と作家のリサーチ、リサーチ内容の発表、制作物の決定 - 3日目:制作 - 4日目:制作と発表 @@ -45,9 +49,9 @@ bookCollapseSection: true スライド(PDF) 1. オリエンテーション 、授業内容の解説、自己紹介 -1. 座学1:サウンド・デザインとは何か? -1. 座学2:メディアとしてのスピーカーとマイクロフォン -1. 実践1:スピーカーとマイクロフォンの誤用を実際に試してみる +2. スピーカーの解体(John Bowers "Victorian Synthesizer" / Paul Demarinis "Tympanic Alley") +3. 聴取と増幅の不自然さ(サウンドスケープとJohn Cage "0'00") +4. フィードバックと楽器としてのスピーカー、マイク(Steve Reich "Pendulum Music") ### 2日目 diff --git a/content/docs/2023/fukujo-sounddesign/prep.md b/content/docs/2023/fukujo-sounddesign/prep.md new file mode 100644 index 0000000..f7116bb --- /dev/null +++ b/content/docs/2023/fukujo-sounddesign/prep.md @@ -0,0 +1,112 @@ +--- +title: 「サウンド・デザイン」(集中講義)授業準備メモ +weight: 0 +bookCollapseSection: true +--- + +# 「サウンド・デザイン」(集中講義)授業実施者用の段取りメモ + +## 1日目 + +### 1限目 + +必要な機材:スライドを出せる環境 + +- Classroomへの登録の確認 +- 講師の自己紹介 +- 学生にも自己紹介してもらう(時間は人数に応じて調整) +- 授業全体の概観 +- 成績評価のルーブリック + +- サウンド・デザインとは? + - デザインとは? +- なぜ過去の実験音楽・サウンドアート作品を参照するのか + - メディア考古学 + - スペキュラティブ・デザイン +- これからの音楽環境の広がりを想像するために、音メディアの間違った使い方を学ぶ + - それも、先人たちがいっぱいいる + +2限目にどうせ時間がかかるので多少早く終わってもOK + +### 2限目 + +Victorian Synthesizerを作る + +必要な機材(学生一人当たり) + +- 8ohm スピーカー + - できれば口径が大きいやつがよい。1個2個種類が違うやつを持参して試してもらうとスピーカー同士の特性の違いを体感できる +- 鰐口クリップコード x 3 + - 足りなければ銅箔テープとかで誤魔化す +- 9V電池 x 1 + - あればバッテリースナップがあってもよい +- アルミホイル 適量 +- ゼムクリップや縫い針 適量 + +始めはノーヒントで音が鳴る構造を考えてもらう + +### 3限目 + +お昼休み明けで眠いので外に出る + +音を聴くレッスン + +- 準備1:Classroom内に共同編集可能なGoogle Docsを作成 + - iPhoneなどのメモでとりあえず取ってもらって、まとめて後で一つのドキュメントにコピペ(全員の感想を一覧して見たい) + - 上手く編集できない人とかが出てくると思うので、最悪Classroomのコメントやメール経由で出してもらう +- 準備2:教師机に拡声用のマイクをセットアップ。 + - できればコンタクトマイクとかもつける + +- 1. 教室の中で聞こえる音を全部書き出す + - 5分間ノーヒント、その後少し補足 + - 今聞こえる音の中で、最も大きい/小さい音は? + - 今聞こえる音の中で、最も高い/低い音は? + - 今聞こえる音の中で、最も近くで/遠くで鳴っている音は? + - 特定の方向から聞こえる音 + - 周期的な音/散発的な音/持続的な音 + - 自分が動いた時に発生している音は? + - 人間が作っている/自然の音 + - 人工物から出ている音 + - スピーカーから出ている音 + - 自分にとって好ましい音/嫌いな音 + +- 2. 教室の外を散歩してみよう + - 15分間 + - 5分以上はどこかで「定点観測」をしてみよう + - よくわかんなくなってきたら書き出すのを止めて聞くことに集中 + - 30秒間ぐらい耳を塞いでからもう一度聞いてみる + - 目を閉じてみる + - 頭、体の向きを変えてみる、高さを変えてみる + +- ☆みんなの感想を教師がレビューする、みたいな形式にあまりしたくない。人数が多ければグループに割ってお互いに感想を見合う時間を作ってもいいかも + +- 返ってきてからは座学でサウンドスケープの話をする + - (間に一度休憩を入れてもよい) + - この時マイクで動作音の増幅をしながら0'00について解説する(レクチャーパフォーマンス) + +### 4限目 + +Pendulum Musicを作る + +- 準備するもの: + - ダイナミックマイク(SM58とかBeta57) + - 適当なミキサー + - マイクプリがあればなんでもいいけど、コンプやEQがあると色々調整ができる + - パワードスピーカー(ぶっ壊れても構わないやつ、音量がきちんと調整できること) + - 複数種類あると音質を比較できて面白いかもしれない + - マイクスタンドorライトスタンド + - できればケーブルを固定できるような仕組みを用意するとよい + - 最悪養生テープとかガムテでも良いっちゃ良い + - もっと言うと天井の高い部屋を探して天吊りできるような場所を探すとよい + - ☆ハウリングの音が苦手な人もいると思うので、可能であれば100均の耳栓をいくつか持って行っておく。あらかじめ注意喚起はするように + +- そもそもマイクの音を増幅してスピーカーから出すとはどういうことか、と言うのを段取りを追って説明 + - なので、あらかじめ配線しておくよりも、配線の仕方も含めて授業とする + - ミキサーによってたかってになるので、レイアウトは工夫したほうがいい + - マイクレベル・ラインレベル・スピーカーレベルの解説は必要 + - マイクだけだとEQの効果とかわかりにくいかもしれないから、ラインで普通の音楽流すとかしてもいいかもね + +- ☆6、7人とか超えると手持ち無沙汰な人が出てきそうなのをどうするか。ミキサーが2セットあれば並行してやるのもアリか + - ミキサー1つでマイクスピーカー2つずつ、でもいいかも。 + +